相談事例

(5)“無料”をうたうアプリの海外からの課金に関する相談

“無料”と表示されているアプリケーションソフトウェア(アプリ)をダウンロードしたところ、気付かないうちに別のサイトに誘導され、後から月額利用料を請求されたり、さらに解約をしようとすると1ドルの解約料を請求されるといった相談が最近増加しています。
アプリの他にも、パソコンで使用するフォントファイルや大容量ファイル転送サービスにおいても同様の相談が寄せられています。ダウンロードしようするソフト等が、本当に自分が購入しようと思ったものであるか否かを注意深く確認する必要があります。特に、“無料”とうたいながらもクレジットカード番号の登録を求められた場合は、細心の注意が必要です。

相談概要

スマートフォンで使うアプリをダウンロードするため、画面側部の「ダウンロード」と書かれた場所をクリックしたところ、アカウント登録としてクレジットカード番号の入力も求められ登録しました。その後、希望していたアプリとは関係のないサイトに飛んでいたことに気づきました。
サイトには「あなたのアカウントへいかなる請求も生じないことを保証致します。プレミアム会員にアップグレードするか、商品を購入しない限りあなたのクレジットカードへの請求は生じません。」と書かれていました。
その後、会員登録完了のEメールが来て、「体験期間中でも解約には1ドルかかる、5日後には継続的に請求が発生する」と書かれていました。サイトでは、解約するには電話かEメールで連絡することと表記されていましたが、電話をしても英語のガイダンスが流れ、英語ができない私には対応できませんでした。また、Eメールは問合せフォームから送信する形式であり、そのフォームには「1ドル支払うことに了承したとみなす」と表記されています。
仮に1ドル支払って解約したとしても、その後また請求がこないか心配ですし、カード番号も不正利用されないか怖いです。

このサイトの落とし穴(CCJからのコメントとアドバイス)

(1)気づかないうちに別のサイトに誘導されている点

検索サイトを通じて当該トラブルサイトにたどりつくこともありますが、多くの相談では、何らかのアプリをダウンロードしようとする際に、「ダウンロード」と書かれたアイコンをクリックすることで、当該トラブルサイトに誘導されています。
「ダウンロード」と書かれたアイコンは、元サイトの画面上部や側部に自動表示されているバナー広告となっています。しかし、元サイトのダウンロードのガイダンス案内のすぐ近くにこのバナー広告が表示されているため、相談者はアプリやファイルのダウンロードアイコンと勘違いして、このバナーをクリックしてトラブルになっています。

CCJからのアドバイス

クリック後、画面が切り替わった際に、URLが別のものになっていないか確認することをお勧めします。このような自動表示バナー広告では「スポンサー広告」という趣旨のコメントが表示されますので、このような表示がないか注意を払いましょう。

(2)課金されることが英語の利用規約に小さく表記されている点

相談のあったサイトは、日本語で表示されており、“無料”であることが強調されています。しかしながら、入力画面上の“利用規約”リンクを開くと英語の長文が表示され、その中に「無料対象はトライアル期間のみであり、その後解約を申し出ない限り正会員として自動登録され、月額費用が発生する」ことが小さく表記されています。
また、「居住国確認」との理由で、登録時にクレジットカード番号などの登録を求められ入力していることから、月額費用などを引き落とされてしまいます。

CCJからのアドバイス

クレジットカード番号などの重要な個人情報を入力する際には、「利用規約」を必ず確認しましょう。探しても利用規約が見つからない、見つけたが英語で理解できない、という場合には、個人情報の入力は避けることをお勧めします。特に、支払いの目的以外でクレジットカード情報を入力することはやめましょう。

(3)事業者情報がはっきりしない点

相談いただいたサイトの多くは、日本語で表示されているページでは、会社概要などの事業者情報(社名、所在地等)を見つけることはできませんでした。さらに、英語表記のページにある事業者情報(海外)を調査したところ、既に休眠扱いになっていたケースもありました。

CCJからのアドバイス

一般的なネット通販にも共通しますが、サイト上の表現が不自然な場合には、契約を避けることをお勧めします。チェックポイントとしては、そもそも日本語表現がおかしい、表示されている住所が不自然だったり電話番号などの事業者情報が容易に見つけられない、セキュリティ会社の証明シールのリンクが切れているなどが挙げられます。

(4)日本国内の電話番号が機能しない点

相談のあったサイトでは、日本国内の問合せ用電話番号が表示されていますが、実際にかけると英語のアナウンスが流れ、英語が堪能な方でないと事業者とのコミュニケーションがとれません。海外事業者については、サイトは日本語でも電話は英語、ということは珍しくありません。

CCJからのアドバイス

個人情報の入力前に実際に電話が繋がり、ご自分でコミュニケーションがとれるか確認できれば最も安全です。しかし、ネット通販等を多用される方にとってはかなりの手間になりますので、少なくとも表記に不自然な点(市内局番を区切る箇所がおかしい等)がある場合には疑ってみることをお勧めします。また、検索サイトで電話番号を検索して、事業者情報が表示されるか調べることも有効な手段です。

以下の相談事例ページにも、詳しいチェックポイントのご紹介があります。合わせてご参考ください。

トラブルにあってしまったら

(1)クレジットカード会社に相談

料金請求の有無にかかわらず、「無料とうたっていたのに、料金を請求されている(されようとしている)」ことをカード会社に説明し、請求の取り消しができないか相談をしてみましょう。そのためにも、契約時の画面などを保存しておくとよいでしょう。また、二次不正利用防止のため、カード番号の変更についても検討されることをお勧めします。

(2)事業者に解約および支払意思がないことの告知

解約の意思表示を行わない限り、継続的な支払義務があると事業者が主張するおそれがあります。それを避けるためには、明確に解約や支払う意思がないことを事業者に伝えることが重要となります。解約の意思表示の方法が分からない場合や、上述の例にあるような「解約フォームを利用すると解約金の支払に同意したことになる」ケースなど、判断に迷った場合にはCCJまたは最寄りの消費生活センターに相談してください。

ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考事例として掲載するものです。同じようなトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。