相談事例

(2)模倣品の海外インターネット通販に関する相談

消費者がインターネット通販で購入し、海外の事業者から郵送等により国内に送付された商品が模倣品であり、それが税関において発見された場合は、没収され、消費者の手元には届きません。
また、このようなトラブルでは消費者が商品代金を支払った後に、販売事業者と連絡が取れなくなるケースが多くなっています。トラブルにあわないためには事前の注意が重要です。

相談概要

お目当てのブランドのバッグが通常価格より安くなっているSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の広告を見ました。販売サイトにアクセスし、品切れになる前に、と急いで注文しました。その後、インターネットで、このサイトが模倣品販売サイトであるとの情報を見て不安になりました。注文をキャンセルしたいと、事業者に数回メールを送りましたが、返信はありませんでした。先日、日本の税関から通知が届きました。どうしたらいいでしょうか。

模倣品の水際取締り強化

  • 令和4年10月1日から、消費者が海外の事業者から購入した商品が、商標権や意匠権の権利侵害にあたる場合(いわゆる模倣品である場合)は、日本の税関で没収の対象となりました。
  • 権利侵害品の疑いがある場合は、商品は手元に届かず、税関で権利侵害品に該当するか否かを認定する手続き(認定手続)が行われます。この場合には、税関から消費者に「認定手続開始通知書」が送られます。
  • 税関に当該商品が権利侵害品に該当すると認定されると、当該商品は没収されます。

次のぺージを参考にしてください。
模倣品の水際取締り強化!(税関サイト:外部リンク)
認定手続の流れ(税関サイト:外部リンク)

アドバイス

模倣品を販売するウェブサイトを見抜くポイントを押さえましょう。
模倣品を販売するサイトには以下のような特徴が見られますので、購入前にしっかりチェックしましょう。

  1. サイトURLのブランド名が正式名称と少し異なる

    偽サイトは、あたかも公式サイトのように見せかけるため、正式なブランド名の英語表記と少しだけ異なる綴りが使われていることがあります。SNSの広告や検索エンジンからサイトにアクセスした場合は、それが公式サイトかどうかよく確認し、偽サイトを公式サイトだと誤認しないよう、注意しましょう。

  2. 販売事業者の正しい情報(事業者名・住所・電話番号)が記載されていない

    正確な事業者情報が記載されていないサイトの利用は控えましょう。
    記載されている住所や電話番号が実在するものであるか確認することも大切です。一見存在するように見える住所でも、記載されている番地が存在しない例が多くみられます。問い合わせ先の海外の電話番号の国番号が住所と一致しないケースもみられます。
    連絡手段がメールしかないウェブサイトは注意が必要です。連絡手段がメールしか用意されていない場合、相手から返信がなくなってしまえば、交渉をすることができません。

  3. 日本語の表現が不自然である

    機械翻訳のような不自然な日本語表記のあるサイトは要注意です。不自然な日本語ではないものの、よく見ると日本語では使われない漢字で書かれている場合もあります。

  4. 正規販売店の販売価格から値引きされている、市場では希少な商品を販売している

    ブランド品、メーカー品を特価で販売している場合は、公式サイトに見せかけた偽サイトではないかどうか確認しましょう。偽サイトでない場合でも信頼できる事業者かよく確認しましょう。公式サイトや店舗では売り切れや入荷待ちとなっている商品を販売している場合、焦って購入しないよう、落ち着いて判断しましょう。

  5. 支払い方法が銀行振込などに限定されている

    銀行振込しか選択できないなど、支払い方法が限定されている場合は、注意が必要です。特に、銀行振込をした場合、振込先から返金をしてもらうことは非常に困難です。また、サイト上ではクレジットカードが使用できると表示されていても、注文後に銀行振込を指定される場合や、振込先の口座名義人がサイトの名称や販売事業者名と異なる場合、これまで寄せられた相談の状況をふまえると、送金はお勧めできません。

  6. どこにもキャンセルルールなどが記載されていない

    サイトにキャンセル、返品、返金のルールが記載されていない場合は、注意が必要です。

    ※なお、これらのチェックポイントに当てはまらないからといって、模倣品サイトではない、ということではありません。

    悪質な通販サイトでないことをチェックしましょう。

    CCJでは、購入した商品が届かない、注文と全く異なる商品が届いた、模倣品が届いた、といった事実を確認した悪質な通販サイトに関する情報をCCJのホームページ上で公表しています。なお、公表されていないサイトであっても安全なサイトであるとは限りません。これらに掲載されていないサイトであっても上記のチェックポイントに該当するサイトでの購入は控えましょう。

    悪質通販サイト情報

万が一トラブルにあってしまったら

  • クレジットカード決済の場合、クレジットカード会社に相談しましょう。

    クレジットカード会社にトラブルにあったことを連絡することで、クレジットカード会社から対応が得られることがあります。
    税関から「認定手続開始通知書」が届いた場合は、そのことをカード会社へ伝えてください。
    次のページも参考に、できるだけ早く連絡するとよいでしょう。
    詐欺・模倣品サイトのトラブル(クレジットカード支払)

    また、クレジットカード会社への相談について不安がある場合には、居住地の消費生活センターへ相談してみるとよいでしょう。

  • 銀行振込で決済した場合、警察や振込先金融機関に相談し、事業者の銀行口座の利用停止を求めましょう。

    商品が届かず事業者と連絡がとれない、注文した商品とは異なる物が到着したが事業者が交換・返金などに応じない、税関から認定手続開始通知書が届いた場合などは、振り込め詐欺救済法の対象となる可能性があります(国内金融機関の口座への振り込みに限る)。
    被害にあったことを警察と振込先の金融機関に連絡し、詐欺の疑いが強いことを申し出ましょう。この法律に基づく手続を行うかどうかは金融機関の判断となりますが、手続がとられると被害回復分配金が支払われる場合があります。

    銀行振込ですでに支払いを行った場合については、 次のページも参考にしてください。
    詐欺・模倣品サイトのトラブル(銀行振込・支払済)

    支払い方法は銀行振込を選択したものの、まだ支払いを行っていない場合は、決して支払わないでください。 次のページも参考にしてください。
    詐欺・模倣品サイトのトラブル(銀行振込・未支払)

  • 消費者生活センターに相談する際は、証拠となる資料(利用したWebページのコピーや、注文確定メール、事業者とのメールのやり取りなど)を手元に持っておくとよいでしょう。

このサイトの落とし穴(CCJからのコメント)

(1)日本の事業者によるサイトと見せかけている点

模倣品の販売に関するトラブルにあったサイトのほとんどは日本語のサイトになっており、一見すると日本の事業者が運営しているように思えます。消費者は海外の事業者であることを認識せずに取引をしていると考えられます。

(2)SNSに広告が掲載されている点

販売サイトの広告がSNSに掲載されていることがあります。SNSの広告から販売サイトに移行した際に、販売事業者の情報や利用規約などをよく確認せずに注文してしまっているケースが見られます。

(3)事業者との連絡手段がメールしかなく、連絡がとれない点

これらのサイトでは連絡手段としてメールアドレスしか記載がない場合が多くみられます。注文キャンセルや返金の交渉を試みようと思っても、事業者から返信が来ず、連絡がとれないことがほとんどです。また初めは連絡がとれても、途中から連絡が途絶えるケースもみられます。

ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考事例として掲載するものです。同じようなトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。